愛人の存在価値
「愛人の存在価値」
ようやく探し当てた妻は見知らぬ青年(筒井道隆)
といっしょだった。しかも病気がかなり進行していて
自分がどこにいてなにをしているのかも
ほとんどわからない状態に陥っていた。
妻(松阪慶子)上の空状態の恍惚とした演技が美しかった。
「夫婦ってやっぱすげえなあ。ここまで追ってくるのだもの
かなわないって思った」という言葉を残して
その青年はふたりから去って行った。
わけのわからない状態になってしまい
川の中に入ってゆく妻の後を追い自分も
よろけながら川に入ってゆき妻に向かって夫は叫んだ。
(しかもそこだけなぜか突然関西弁だった)
「行かんとってくれ、オレをひとりぼっちに
せんといてくれ、たのむわ陶子?さみしい
さみしいんや?おまえのおらん生活なんて考えられん」
というようなことを絶叫するのだった。圧観。
人というのは本来みんなどうしようもない孤独を抱えて
生きているのもなのかもしれないなあ。
なんてことをその場面を見てふっと思ったのだ。
このダンナさんの気持ちがとてもよくわかった。
リストラにあい、自暴自棄になっていた心のすきまを
埋めてくれたのは、たしかに愛人だったかもしれない。
しかしこのダンナが本当に必要としかけがえのない
存在だったのは、やはり妻だったのだ。
でも愛人さんちょっとかわいそうかもしれないなどと思った。